2013/03/11

ピン打ちをしよう

ピン打ちとは、モーターの軸をビスの代わりに使用する技法のこと。
モーターの軸(モーターピン)をFRPに打ち込むからピン打ち。
一昔前は立体車でもリアローラーに良く使われていましたが
今でもフラット、特に井桁のローラー軸によく使われていますね。

今回はそんなピン打ちの話。

ピン打ちのメリットは
・長い
・曲がりにくい
・部品が減る
・ビス頭、ナットがない
この4つかなと思います。

一昔前は長いビスの供給も少なく
ローラー軸として使用するのには強度も不安でした。

それが今はステンレス製40mmビスや六角マウントによる補強。
さらに強度の高い両ネジやキャップスクリューの存在もあるので
長い&曲がりにくい選択肢はたくさんあります。
なので、現状でピン打ちという選択は必要なくなりました。

でもフラットレースでは未だに使われます。
これは後者2点、特に最後の1点の理由が大きいからだと思ってます。

ビス&ナット止めの場合は下段にビス頭があるので
ビス頭がバンク等で路面に擦らない位置が下限になると思います。
となると下限から考えてビス頭1個分、ローラーの下限は高くなります。
両ネジだと下段もナット止めになるのでローラー位置はより上がりますね。

ところがモーターピンを使用した場合はビス頭(ナット)が無くなるので
ローラーが装着できる下限がビス使用時より低くなります。


こんな感じですね。
ピンを打ち込むのでローラー幅は作成時に決めないといけないですが
LCに飛びこまなきゃいけないフラットレースでは
ローラーをギリギリまで下げられるメリットは大きいですね。

部品点数の削減はスペーサーやナットが減るので当然ですね。
部品が減ればメンテナンスも楽になりますし
なにより車体が軽くなります、これは言わずもがなですね。

僕が思いつくメリットはここまでですが
フラットの世界ではいまだに多用されていることを考えると
きっと他にもメリットは多いんだと思います。

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とはいえピン打ちの話をすると
「敷居が高い」と聞くことも多かったりします。

確かに自分でFRP貼って位置を決めて穴をあけてピンを打って・・・
と考えると非常にハードルが高く感じてしまいますね。
これがフラットの参入障壁の1つなのかなぁと思ったり。

とはいえピン打ち自体は非常に便利な技法なので
身に着けると便利でおいしいところもあるので
ピン打ちの入門用にある程度簡単な方法を記載しようと思います。
これは自分の周りだと樺太さんがゆとりピン打ちと命名した方法です。

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・用意するもの


3点止めステーに付属しているワイドプレート。
9,11,13,17,19mm用の幅増し穴がついていて優秀なパーツです。


これとモーターピンです。
一般的に使われるのは片軸モーターですね。
両軸は長すぎてかえって使いにくかったりします。


まずこのワイドプレートの穴を1.9mmのドリルで拡張します。
2.0mmだとスカスカ、1.8mmだとキツいので1.9がオススメです。
ちなみに1.9mmはFRPの時でも使用できるので
持っておいて損はないドリル刃の径です。

あとはモーターピンを打ち込むだけ。


モーターピンを打ち込むときは垂直を出すのが結構難しいのですが
片軸用のカウンターギアを治具に使うとある程度垂直が出るので
フリーハンドでピンを持つより精度が出しやすくてオススメです。



下段側はアルミスペーサーを使用してどこまで伸ばすか調整します。
あとはローラーを取り付ければ完成です。


830のような内径3mmのローラーは
モーターの中身やピニオンを削って圧入して、それをモーターピンに装着します。
画像のコレは紫ピニオンですね。


プラリンのような520が中身のものはそのままでピンに装着できます。
850や9mmのような内径5mmのローラーは520をインしてから装着かな?

ワイドプレートでそれぞれのローラー用の幅が出ているので
レギュレーションギリギリの幅も満たせて実用性も十分です。
このプレートの強度に不満を感じるようなら


ローラー部分だけ切り取ってカーボンにビス止めする方法もあります。
こうすれば強度も出るうえにカーボン既存のローラー穴も活かせますね。

ピン打ち部分をたくさん用意しておけば現場での交換もできるので
セッティング変更が容易になります。
これでさらに不満が出るなら、その時はFRPに穴をあけてピン打ちですね!

このぐらいの方法のピン打ちなら簡単なうえに精度も出しやすいので
3レーンのショップレースなどには使ってみて欲しいですね!