2012/07/28

ARシャーシの話① 駆動の話

7/14に発売された待望の新シャーシ、ARシャーシですが
やっと作ることができたのでそのレポートです。

話が長くなりそうなので、まず今回は駆動の話。

ARシャーシを組んでみて気付くところは、そのトルク感の強さ。
トルク感が強いのは片軸車なら当たり前だろって言われるかもしれません。
このARシャーシの驚くべきところは、リアモーター車でありながら
フロントのトルクが鬼のように強いところなんです。

で、実際に見てみるとこんな感じです。
フロントの軸受けとプロペラシャフトの周辺の拡大写真です。
ここで注目すべきはプロペラシャフトのピニオンギアの横にある突起物。
クラウンギアが置かれている場合は歯の裏側にあたります。
この突起物、これがすごいんです。

これのすごさの説明をするにはまずギアの話をしないといけないのですが
ギアとギア、歯と歯に噛み合う力がかかるとお互いに離れようとする動きをします。

プロペラシャフトのピニオンとクラウンギアのような90度変換があるような関係の場合
クラウンの歯が車軸を支点にシーソーのような方向に歯が離れてしまいます。
歯と歯が離れて遠くなるのでトルクが抜けることになります。

ところが、歯の裏に突起物がある場合はこれが歯の逃げのリミッターになるため
歯が必要以上に離れず、トルクが抜けることがなくなります。
ちなみにリアを見てみると
リアにもちゃんと突起がありますね。

で、実はというとこの突起、リアはどのシャーシにもあったのですが
フロントはほとんどのシャーシがなかったんです。
たとえばS2シャーシなんかはこう
ないんですよ、突起。
だから歯が逃げてトルクが抜けやすいんです。
ピンククラウン車でフロントのピンクが欠けやすいのはこのためだったり。
歯と歯の距離が変わると瞬間的な衝撃がかかって歯が欠けやすくなります。

ちなみにMSシャーシは
ちゃんとあるんです。
この突起はそういう意味と効果があるんです。

この突起が接触してるからと言って「抵抗抜き」だと言って削り落してしまうと
確かに接触抵抗がなくなりますが、トルクが抜けて遅くなります。
空転だけなら満足なんですけど実走させると良いことなしです。

この突起に頼らないとなるとギアの位置決めが相当シビアになってしまうので
突起は必要な抵抗として削ったりせずに残して
むしろ削れないようにグリスなどでしっかり保護してやるのが大事になります。
これはギアに90度変換がかかる部分はARに限らずどれも一緒!

で、ARの話に戻ると、そういう理由で歯のかみ合わせの維持が強いのですが
そうなるとフロントのプロペラシャフトが持ち上がる可能性も出てきます。
VSなんかはよく急な衝撃でフロントのギアカバーを飛ばしてますよね。

その点ARシャーシは
フロントのプロペラシャフトの上にシャーシがある。
これなら何も飛ばないよね!

そんなわけで、長くなってしまいましたけど
ARシャーシの駆動、とくにフロントはとてもトルクフルで優秀なんです。
前輪干しより4グリの時代来るか!?とちょっと期待してますw
ダッシュ小径なんかは4グリARが無双しそうな予感がしますね。